前日に予約した美容院に行くべく、せっかくの休日にせかせかと身支度を整え、薄っぺらい会話の飛び交うお洒落ゾーンへ僕は向かった。
髪をチョキチョキと切って頂くのは嫌いじゃないんですが、その間の美容師さんとの会話が苦手中の苦手です。
そんなに頻繁に会うわけでもなく、年齢も離れている。
共通の趣味を探すべく、「ご、ご趣味は?」などと時代錯誤のお見合いワードが飛び出す。わけもなく、お互い探り探りの会話がはじまる。
美容院に入る手前で、僕はそっと胸に手をあて「が、頑張ろう...!」と謎の気合を入れる。
するとその時になってようやく「あれ?なんだか今日ズボンがゆるいな?痩せたかもよ!」という嬉しい自己主張が腰の辺りから聞こえてくる。
けれど現実は、一体全体何を間違えたのか
ベルトを忘れたという茶目っ気たっぷりの過去の自分からの贈り物だった。死にたい。
ずり落ちるズボン。華やいだ会話。香水の匂い。
「あの時は本当にアウェイ戦の難しさを感じましたね...完全にあの空気に飲まれて思うようなプレーが出来ませんでした..」
試合後そう語る男子大学生(20)の瞳はどんよりと曇っており、しかし皮肉にもチョキチョキと髪を切られたために外見的にはどこかサッパリしているのであった。
美容師○―ヒッキ×
決まり手・美容師の、俺のモテ期マジぱねぇかったですよ自慢

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